【第5回】ラウンダーの適正人数はどう決める?実施規模の算出法とエリア別スタッフ配置シミュレーション

前回の記事(第4回)では、現場ラウンダーのミッションと、本部商談を強力にバックアップする「定性・定量情報」の集め方について解説しました。
戦略やミッションが決まったら、次に突き当たるのが「結局、何人のラウンダーをどのエリアに配置すればいいのか?」という運用の具体的な設計(スケール設計)の問題です。
人数が多すぎればコストを圧迫し、少なすぎれば十分な巡回頻度を保てず効果が出ません。
今回はスライド14〜17をベースに、自社に最適な「実施規模(ラウンダー人数・訪問頻度)の決め方」と「エリア別スタッフ配置のシミュレーション手法」を解説します。
1. 実施規模(ラウンダー人数)を弾き出す「基本の計算式」
適正なラウンダー人数を割り出すためには、感覚ではなく「巡回対象店舗数」と「必要な訪問頻度」から逆算してシミュレーションを行います。
算定に必要な3つの要素
- 対象店舗数 : カバーしたい店舗の総数(例:首都圏の主要チェーン200店舗)
- 訪問頻度(スパン) : 1店舗あたり月に何回訪問するか(例:月2回巡回=延べ400店舗)
- 1人の月間巡回可能件数: 1人のラウンダーが1ヶ月(約20稼働日)で回れる件数
(例:1日4〜5店舗×20日=80〜100件)
【計算例】
- 条件 : 巡回対象200店舗 × 月2回訪問 = 月間延べ400店舗の訪問が必要
- ラウンダー能力: 1人あたり月間80店舗巡回可能
- 必要人数 : 400店舗 ÷ 80店舗 = 【5名】のラウンダーが必要
このように、自社が「どの店舗に・どれくらいの頻度で入りたいか」を明確にすることで、必要なチーム規模が論理的に導き出せます。
2. エリア別スタッフ配置の考え方(拠点の置き方)
全国や広域エリア展開を狙う場合、一気に全域をカバーしようとすると移動コスト(交通費・移動時間)が跳ね上がってしまいます。
費用対効果(ROI)を極大化するためには、「店舗の密度」に合わせて配置都市をシミュレーションするのが鉄則です。
配置都市シミュレーションのステップ
- フェーズ1(集中的カバー): まずは店舗密度が最も高い「3大都市圏(東京・大阪・名古屋)」から
優先的にスタッフを配置する。 - フェーズ2(広域カバー) : 続いて主要地方都市(札幌・仙台・広島・福岡など)へ拠点を広げ、
周辺エリアを広域巡回させる。 - フェーズ3(スポット対応): 店舗密度が低いエリアについては、定期巡回ではなく「新商品発売時
のみ」などのスポット巡回に切り替える。
「移動に片道2時間かかる1店舗」のためにラウンダーを派遣するより、「徒歩や短時間移動で1日5店舗回れる高密度エリア」にリソースを集中させる方が、全体の店舗改善スピードは圧倒的に早くなります。
3. 予算に応じた「予算逆算型」のアプローチ
もし「すでに年間のラウンダー予算(上限)が決まっている」という場合は、予算から逆算して最適解を導き出します。
- 予算が限られている場合:
- 「全店舗を月1回巡回」するのではなく、「売上上位20%の旗艦店(フラッグシップ店)のみを月2回巡回する」というように、対象店舗を絞り込んで高頻度で巡回します。
- 新商品発売期などの繁忙期:
- 年間通して同じ人数を雇うのではなく、「新発売からの2ヶ月間のみ人数を3倍に増やして店頭を一気に立ち上げる」といったスポット増員戦略が有効です。
まとめ:効率的な配置シミュレーションが費用対効果を最大化する
ラウンダー組織の構築で失敗する原因の多くは、「無計画なエリア広域化による移動コストの増大」や「不適切な巡回頻度設定」にあります。
自社のターゲット店舗群の分布データを元に、「最も効率よく回れる配置都市」をシミュレーションすることから始めてみましょう。
次回予告:組織の要「運営事務局」の重要性と3つのミッション
「ラウンダーを採用したあと、日々の管理や指示出しは誰がやるの?」 「現場任せにしてサボられたりしない?」
次回(第6回)は、スライド18〜19をベースに、ラウンダー組織を裏で支える「運営事務局」の役割と、会社・事務局・スタッフ間における3つのミッション構造について解説します。
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